私は、自然や環境を観察しながら、物質の内側にある気配や感覚を探りながら制作しています。
自然界に見られる対称性や黄金比をもとに、ガラスのパーツを一つずつ手作業で繋ぎ合わせ、繊細な構造体を生み出しています。
平面と立体の間を行き来する作品を通して、ガラスという無機的な素材に、自然が持つ秩序や流れを重ねています。
また、実体と影、静止と変化といった、相反するものが共存する境界にも関心があります。
水が温度や圧力によって姿を変えるように、ガラスもまた移ろいの中に一貫性を持つ素材だと考えています。
その透明性とかたちによって空間に呼吸のようなリズムを与え、「曖昧でありながら確かな感覚」を静かにすくい上げたいと思っています。
-マスタニメイ
この度 hide gallery では、6月13日(土)~6月28日(日)の会期にて、マスタニメイの個展「Just the Breath of Air」を開催いたします。
本展は、マスタニメイの当ギャラリーにおける二度目の個展であり、最新作のガラス作品を展示いたします。
ガラス棒やガラスの管を炎で溶かしながら成形を行うバーナーワークという技法を用いて、細く繊細な幾何学的造形によるガラス作品を制作するマスタニメイ。シンガポールに生まれ、グラフィックデザイナーとして活動したのちに、富山ガラス造形研究所にてガラス技術を修め、現在も富山県を拠点に制作を行っています。
自然界への関心を起点に、作家が自然のなかにみる「流れやリズム、変化や移ろい、動き」といった感覚を、ガラスを用いて「線」へと昇華するマスタニの表現は、ガラスという素材が有するその透明さや、脆さゆえに人間に与えうる緊張感といった、素材の普遍的な魅力を存分に活かし、微細な感覚を捉える純度の高い造形へと結実させています。そうした追求の先に倒置的に立ち現れる空間の「間」や「余白」、そして手作業ゆえの作家自身も意図しないエラー的な線の揺らぎは、見る者に言語以前の感覚を呼び起こし、知覚のあり方を心地よく開く体験をもたらします。マスタニの施すガラスの連なりがもたらす無機物でありながらも有機的なゆらぎ、そして空間に立ち現れる独自の緊張と静けさを、ぜひご高覧ください。
在廊予定日:6月13日(土)