存在について
見えている部分は存在している.
触れている部分は存在している。
見えていない部分は存在している。
触れていない部分は存在している。
見えている部分は存在していない。
触れている部分は存在していない。
見えていない部分は存在していない。
触れていない部分は存在していない。
この度、hide gallery では、河原 悠の個展「Verbergung と Unverborgenheit の往復」を開催いたします。
弊廊の空間で、彼の独特な表現世界をじっくりとご紹介できることを大変嬉しく思います。
河原 悠(1988年、京都精華大学卒業)は、「物質の実存の固定と拡張」をコンセプトに、木材と樹脂を用いた制作を続けています。かつて、空間の影響を受けやすい「彫刻」のあり方を模索した末、彼は彫刻された木材を樹脂の層で平滑に固め、それを平面に閉じ込めるという独自の制作手法に至りました。
彼の作品は、一見すると平面的な絵画に見えますが、その内部には確かな物質(彫刻)が封じ込められています。空間や質量に頼らず、そのもの自体が「絵画的に意識を拡げる、ひとつの彫刻」として成立させようとする試みは、「見えている部分」と「見えていない部分」の存在を問いかける、深く多義的な思考を伴います。
本展では、作家の探究の最新形を示す新作を展示予定です。平面という限界を設けながらも、その奥深くに物質の存在を拡張させる河原 悠の独自の表現を、ぜひこの機会にご高覧ください。