「目に見える世界」は実は何も見えていないのではないか。子供の時から私は目に見える世界に 依存しつつ、その端から垣間見える虚構について考えを巡らせてきました。目よりも私は指を信 用したように思います。カメラを持ち、シャッターを切る時、カッターを持ち、紙にスリットを 入れていく時、時にペンを持ち線を描くときにも針を持ち糸を通す時も、この指の感じる豊かな 世界を信じているように思います。
私は見える世界に生きている。しかし世界はその先にも在る。
その先に指を伸ばし捉えたい。その願望が私の作品の根底にはあります。